Ehime University Multispecies Campus / 愛媛大学マルチスピーシーズ・キャンパス

マルチスピーシーズ・キャンパスとは? / What’s a multispecies campus?

 わたしたちが暮らす街やキャンパス、何気なく見ている風景は人間たちだけで作りあげているものではありません。植物や鳥、虫、微生物などさまざまな生き物の関係性のもと成り立っています。マルチスピーシーズは、この生き物どうしの関係性に焦点を当てて、持続可能な社会や環境を考えていきます。愛媛大学マルチスピーシーズ・キャンパスでは、マルチスピーシーズの考えをもとに学生や教員だけでなく、人間以外の生き物にも住みやすいキャンパスづくりを目指しています。

Our cities, campuses and landscapes are not just of human origin. They emerge from multispecies relationships of plants, birds, insects, microbes and many other lifeforms. Multispecies thinking helps to think about sustainable societies and environments through such multispecies entanglements. The Ehime University Multispecies Campus initiative seeks to create a campus where not just students and university staff but all living beings can flourish.

Multispecies community garden design concept (Rupprecht, Yoshida, Cui 2020)

取り組み / What we do

日光・微気象調査 / Sunlight & microclimate study

日光・微気象条件は生き物や植物の生育場所として重要な要素となります。
愛媛大学城北キャンパスでは東西に伸びている通りは比較的日照条件が良いものの、南北に伸びている通りは日陰が多くなっています。またグリーンプラザ(広場)では建物と距離があるため、日照条件は良いですが、夏場では日陰が少なくなるため滞在しづらい状況となっています。

Seasonal sunlight simulation (Lihua Cui, Aoi Yoshida)

下記の図は2022年7月における城北キャンパス内の気温です。熱中症など危険とされている箇所、厳重警戒となっている箇所が多く存在していることが分かります。

Microclimate study July 2022 (Lihua Cui)

植生調査 / Vegetation survey

城北キャンパスには12タイプの植生があることが分かりました。

Ehime University Johoku campus design analysis (AOI Landscape Design)

ワークショップの実施 / Workshops

大学関係者・学生に城北キャンパスにどんな生き物がいるのか、どのようなキャンパスであってほしいかなどを話し合いました。結果として居場所の質の向上への期待が大きいことが分かりました。

Multispecies campus workshop July 2022 (Nadine Gärtner, Aoi Yoshida, CDD Rupprecht)

城北キャンパスの生き物調査 / Mapping campus life

プロジェクト演習の学生が行った生き物調査ではキャンパス内のどんな木や鳥が生息しているかを調査しました。

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木と話そうプロジェクト / Tree conversations project

木と人との関わりを調べるため、「木と話そうプロジェクト」を実施しました。木にQRコードを設置し、読み取るとメッセージを送ることができる仕組みになっています。木には様々なメッセージが寄せられ、友達とするような雑談や人には言えない自分の中にある思いをメッセージに送ってくれる人もいました。

エディブル・キャンパス(菜園)/ Edible campus activities

マルチスピーシーズ・キャンパスの始まりのきっかけとなった活動!城北キャンパスのプール横や駐輪場の前の空きスペースを利用し、イチジクやとうもろこし、ブルーベリー、大根、セージなど野菜から蜜源植物まで色々な植物を育てています。

Vegetable garden next to the pool (Takeshima, Kasamatsu, Shimagami & regional resource management students)
Multispecies campus experimental site (Rupprecht, Gärtner & all kinds of students!)

コンポスト活動 / Compost project

2022年度から試験的にコンポスト活動を開始し2023年度から本格的に行なっています。活動のきっかけは、学生がなかなか自炊に取り組まないことでした。その理由として、生ごみの処分に困っていることが挙げられるのではないかと考え、コンポストを通して生産・消費・分解まで取り組むことで行動変容に繋げようと思いました。城北キャンパスに設置しているコンポストは、キエーロという黒土で分解するタイプ(消滅型)と籾穀燻炭などを混ぜた堆肥になるタイプ(堆肥型)の2種類で比較しながら行っています。

Comparative compost experiment (Kumiko Takeshima)

蜜源調査と巣箱づくり / Nectar plant study & bee hive building

社会共創学部環境デザイン学科のプロジェクト授業で蜜源調査を行いました。受粉など生態系に関する重要な役割を果たす送粉者の観点からキャンパス環境の現状を把握するために蜜源となる植物種の調査を行いました。先行研究で指摘されていたように城北キャンパスでも夏期期間中の蜜原減少を確認できました。今後は植栽による対応を検討しています。また、古くから四国で飼育されてきたニホンミツバチの巣箱づくりに取り組み、他大学の先例を受け大学キャンパスに養蜂活動の可能性を探る一環として適切な巣箱設置場所について検討しています。

Project students Year 2023

フィールド調査 / Field trips

社会共創学部の「フィールド実習」の授業にて、兵庫県立淡路景観園芸学校、牧野植物園、香川大学に訪問し見学しました。キャンパス環境・管理の改善にむけて、他大学・他施設の多種共生や環境配慮に関する取り組みや事例について情報収集・意見交換を行いました。学生が主体となり大学キャンパス管理運営について深く考える機会を得た上、淡路景観園芸学校でヤギによる植生管理の課題と園芸療法を通じたキャンパス環境の新たな役割や可能性、香川大学で地域ステークホルダーとの連携を通じて可能となるキャンパス内有機農業栽培の取り組み、一般的なキャンパス緑地利用制限と異なる積極的な利用促進管理方針や農薬の利用に頼らないキャンパス植生管理、そして牧野植物園で観光利用と研究活動の両立を前提とする空間管理などについて、今後「地域とともに輝く大学」を目指す愛媛大学にとってのキャンパス管理改善に向けて重要な指摘を得ることができた。

Visiting Awajishima 2023
2023 Field Course students field study thoughts

愛媛大学附属高校との連携 / Ehime University high school collaboration

多種共生をテーマにハーブ活用法や昆虫食について研究を行った高校生が城北キャンパス内に植栽せずに自然的に発生するエディブル・ハーブの収穫や昆虫食の加工実験でより充実した課題研究を実現でき、栽培・加工難易度のハーブ評価や高校生の昆虫食に関するアンケート調査の成果を愛大ミューズやオンラインで発表しました。

2023 Thematic research high school students — herb group poster presentation

マルチスピーシーズが目指す理想の城北キャンパス / Ehime University Johoku multispecies campus design vision

AOI Landscape designの代表者である吉田さんにマルチスピーシーズが実現した城北キャンパスをデザインしていただきました。詳しくは下のリンクから!

マルチスピーシーズエディブルキャンパスデザイン

Gardening the multispecies campus. Design/Concept: AOI Landscape Design
Fostering community ties. Design/Concept: AOI Landscape Design
Re-envisioning a multspecies campus community. Design/Concept: AOI Landscape Design